小さな楕円形で、色が緑または黒のオリーブは、明かり、燃料、薬、そしてもちろん食用として使われてきました。この果実はおいしいだけでなく、イスラム教をはじめとする多くの宗教で象徴的な意味を持っています。オリーブの実、オリーブ油、オリーブの木はコーランでいくつか言及されており、神聖なものとみなされています。
オリーブの木は地下の深いところにまで根を張り巡らし、そこから地下水を汲み上げるため、乾燥した地域でも花が咲かせることができます。このことから、小アジアが原産であることが分かります。オリーブは、最初の書き言葉が発明される前から栽培されています。また、約6000年前にイスラム教の社会で初めて栽培された植物の一つです。今日オリーブの実とオリーブ油はサウジアラビア料理の主役であるため、特に生産に力が入れらています。
2007年、王国はサウジアラビア北部のヨルダンとの国境に位置するジャウフにオリーブの木を植え始めました。2018年までには、約52,000エーカーの畑に植林されました。今日ここには近代的な最大のオリーブ農園Al Jouf Agricultural農業開発会社があり、ギネス世界記録に認定されています。500万本以上のオリーブの木があり、年間約15,000トンのオリーブ油が生産されています。これは、王国で1年間に消費されるオリーブ油3万トンの半量に相当します。
同社の取締役をつとめるアブドゥルアズィーズ・ビン・モハメド・アル・フセイン氏によれば、Al Jouf Agricultural農業開発会社は中東最大のオリーブ油生産工場だということです。(オリーブの漬け物やボディケア用品も生産されています。)
近い将来、この国には最大のオリーブ工場も作られる予定です。環境に配慮した中東最大のオリーブ油生産者である国営農業開発会社とスペインのGrupo GEAは、2019年3月にアジア最大のオリーブ工場をジャウフに建設することで合意しました。王国のジャウフ大学とスペインのハエン大学では、すでに研究プロジェクトが進められています。
サウジアラビアで栽培されているオリーブの約2割が食用、残りの8割がオリーブ油の生産に充てられています。ジャウフを訪れたら、地元のオリーブの実やオリーブ油を取り入れた料理を忘れずに試食してください。
アラビア湾の食を専門とする作家のフェリシア・キャンベル氏は、「北部の食卓では、デーツがどこにでもあるのと同じように、食用オリーブも一般的です。」と話しています。彼女おすすめのオリーブ油を使用した料理は、マタバクです。「薄い層になったパンで、ストリートフードとして各地で人気があります。北部ではバターやギーの代わりに、オリーブ油を使用して作られています。」
オリーブ畑の見学については、ホテルのコンシェルジュにお尋ねください。毎年開催されている2週間のオリーブフェスティバルの期間に合わせて訪問するのも良いでしょう。フェスティバルでは、アートコンテストやオリーブの栽培に関するセミナーなど、文化、社会、娯楽、教育をテーマにした様々なイベントが行われます。
王国でオリーブを体験する前後に、タブークとジャウフを訪れる5日間のツアーを予約して、さまざまな場所を探索してみては?タブークでは、例えばヒジャーズ鉄道の駅やタブーク博物館を訪れます。ジャウフでは、古代都市ドゥーマ・アル・ジャンダルのマリド城を見学した後、近くの伝統的なスークにお土産を探しに行きます。
- リーザ・ツィマーマン